君にもう一度あの歌を

「私、店長みたいに売上ガンガン上げたいです。店長、新人の時、社長賞を貰ったんですよね？ 新人でどうやって売上あげたんですか？ コツとか秘訣とかあったら教えてください」

伏見の言うとおり、梨花子は短大を卒業後にウルトラメガネに就職し、その年の新人売上ナンバーワンということで、年度末に社長賞を貰った。

「コツとか秘訣とかね……。あるような、ないような。でもね伏見さん、私が新人の時から自分に言い聞かせてるのは、メガネ店に来る人には必ず目的があるってこと」

「目的ですか？」

「そう。視力の悪くない人や、サングラスを使わない人は毎日この店の前を通っていたとしても、多分この商店街のどの場所にウルトラメガネがあるか知らないと思うの。逆にここに入店する人には必ず目的があると思っていいと思う。その目的を早く見つけれたら、数字にも繋がると思うけどな」

伏見は梨花子の言ったことをメモに書き込みながらブツブツと呟いた。

「目的を、見つける……。店長、なんか難しいです。もっと簡単な分かりやすいやつないですかあ？」