第五話ー休日ー

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('A`)(よっ、っと…) 身軽に着地を決め、周囲を見渡す。 深夜のため当然だが、村には人っ子一人歩いていなかった。 念の為、索敵スキルの範囲を広げ、万が一の事があっても良いようにと身構えて置く。 いつ何時、背後からショボンが湧くか分からないからだ。 ('A`)(そういや今日はショボン来ないのか?俺が家から出たのは気付いているはず……まぁ、良いか。あいつは最低限の良識は弁えてるし、寝ているブーンに襲い掛かる事はないだろ…) 一人納得し、再び周囲を警戒しながら村の出口へと向かう。 ('A`)(さーて、今日はどうすっかな。ショボンオススメの鍛錬スポットに行っても良いが……色々試したいことあるし、適当に草原に湧いたモブ狩りでもすっかなー) などと考えながら村の外へと出る。 すると、ドクオは視線の先に一つの影を見付ける。 ('A`)(!モンスターか?) 咄嗟に背中のスティールソードの柄へと手を伸ばす。 月光が影の姿を照らし出す。 そこにあったのはーー ('A`)(人だ…間違いなく。だが、油断は出来ないな…) 長剣の柄に手を添えたまま、影の人物へと声を投げ掛ける。 ('A`)「えーっと、あんたも冒険者か?」 普段なら初対面の人物との会話は苦手なドクオだが、冒険者スイッチが入った状態ではある程度和らぐようだ。 ドクオの言葉に、謎の人物が声を上げる。 「そだよー。あなたも冒険者なのね」 声は明るく女性ーーと言うより少女的なものだった。 よく見ると、黒のソックスに覆われたスラッとした脚に、ラインが入った膝上までの青緑色のスカート、簡素なシャツ、完全に顔を覆い隠す紺色のフーデットケープと、服装も女性のものだった。 胸元の革の胸当てと腰の短剣が無ければ冒険者とは気付かなかっただろう。 背丈はドクオの肩ほどまでで、体格も冒険者とは思えないほど華奢だ。 ドクオは周囲を見渡す。 (;'A`)「他に仲間はいないのか?」 ドクオの問いに、少女は背を向けて答える。 「……居ないよー。あなたはいるの?」 少女は背を向けた状態から、振り返りながら問い掛ける。 ('A`)「ああ、今はいないけどな」 ドクオの応えに、少女は無反応だった。 只々、背を向けたまま夜空を見上げている。 二人の間に沈黙が流れる。 耐え切れないドクオが口を開こうとした刹那、沈黙は作り出した張本人によって打ち破られた。 「どうしてそんな軽々しく他人と話せるの?」
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