籠の鳥 －１－

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事のきっかけは昨日の夜。

彼の荷物を乱暴に段ボールに詰め込んで、まとめて着払いで彼の実家に送り付けた後、少し気が晴れたところで事の顛末を話すべく実家へと電話した。

トゥルルルル、トゥルルルルと、呼び出し音がなる中「どう説明しよう」と考えあぐねる。

この話をしたら父はどんな反応をするだろう。

この間、高血圧の検査に引っかかった事を母から聞たばかりだというのに。

血圧が上がってしまうのは目に見えている。

電話の機械音が変わり、電話が繋がる。

こと葉は恐る恐る「もしもし」と囁いた。

「……はい。」

父とは異なる男性の少し驚いた声が聞こえてくる。

「え、あ……。」

声色が違う。

「間違えた」と反射的に思い、ディスプレイを確認する。

しかし、そこにはいつも表示される「実家」の文字はなかった。