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左目をカメラに変えた。
瞬きするたびにシャッターが切られて、それは眼球型メモリに記録される。
それをパソコンに記録させるためには、コンタクトレンズ型メモリを使用する。
僕は一日のまとめとして、毎日、眼球型メモリからコンタクトレンズ型メモリに記憶を移し、それをパソコンに記録させている。
パソコンの中では、完璧に僕の毎日が再現されていた。
「で、これがその家具屋のウィンドウにあった椅子とテーブル。なぁ~、カッコいいだろ?」
記録した僕の今日一日を披露しながら、パソコンに画像を収めていく。
僕の肩越しに、彼がそれを見つめている。
「あー、お前こういうの好きだもんなー」
写真の中の家具を指差す。
僕の目は瞬きして、その画面と指を記憶した。
「俺だけじゃないだろ~」
彼だって好きなのだ。
アンティークみたいに古めかしいけど、シンプルな作りの家具が。
いつか一緒に散歩をしたときそんな家具を見つけて、一緒に家具屋さんのショーウインドに張りついていたのを覚えている。その瞬間も、パソコンに記録されているはずだ。
彼は少し恥ずかしそうにしながら、背中越しに僕の頭を撫でるように叩いた。
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