1 再会 

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「このMac使ってください、イラレのバージョンはうちはまだcs6なんです、今日は私の補助お願いできますか?」 清宮は山程積まれた書類の入ったクリアファイルをザァッと横に避けデスクを開けた 清宮にはどこかどうとは言えないが簡単に触れてはいけない……汚してはいけない独特の雰囲気があり、その雑な仕草はその辺にいる普通の男と変わりないんだと思えて何故かホッとした 「うちには他にあと三人デザイナーがいるんですが今日は撮影に出て居ないんです」 「"あの"スタジオですか?」 「え?…あの?……どの?……今日はカナサキスタジオですけど」 「あ…そうか…すいません……」 謝らなくてもいいのに……と笑う顔を見てまた息をするのを忘れた 何をやってるんだ……… ドキドキを通り越してもう反射運動すらままならない、足に爪を立ててみたが何も感じない…… 「フォルダーをサーバーにあげるから写真を処理して仮入れのイメージと入れ替えて下さい、皮革市って名前で入ってるから」 「はい……取り敢えずやってみます」 電源の入っていなかったMacに明りを灯しイラストレーターを立ち上げると新品に近いのか動作が早い、デスクトップをチェックして自分の形に置き換えながら仕事に気持ちを切り変えると幾分落ちついてきた 「皮革市………あ、これか………」 イラストレーターのaiファイルを開けると写真やタイトル、商品名や値段が配置された一見出来上がった広告が表示された 「え?これ………写真は……」 「うん、全部仮入れ」 思わず清宮を見るとニッと眉を下げて笑った フォルダの中にはタイトルも付いてないjpgファイルが同不順で並んでいる、一点一点資料を見ながら当てはめていかなければならないらしい、しかも画像処理付き……… 量は膨大だった 「後でチェックしてくださいね、責任持てませんよ」 「はは…、色々あってさ、撮影が遅れたんだ、文字校正だけは終わってるから悪いけどよろしくお願いします」
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