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「俺が預かります」
何の資料か確かめずに清宮が手を出すと堀川はパンッと音をさせて清宮の頭に乗せジロリと整った大きな目で睨んだ
「シャツ!ここは休日のリビングか!緩いにも程があるぞ」
これではまるで学校の先生だ
みんなは面白がって取り巻いて見ていた
清宮は曖昧な困った笑顔を皆に向かって浮かべ、逃げるようにスルリと部屋を出て行った
「おい!みんな見てないでちゃんとやめさせろ、せめて注意してくれ」
「はあ………」
みんなも曖昧な返事しか出来なかった
止めろと簡単に言われても見えない壁に阻まれ声をかけるなんて誰だって躊躇してしまう、清宮はデザイン部のリーダーを努める大人なのだ、注意する方でされる方じゃない
「頼んだぞ!」
文句を言う相手がいなくなりぶつぶつ言いながら差し入れに貰った豆大福を一つ摘んで口の周りを白くしながら部屋を出ていった
「何があったかって何があったんですか?」
誰にともなく美咲が呟いた
「何でしょうね…何かが…落ちたとか…?」
「やまめす?」
「うん、やめよう」
何となく顛末が想像できたので全員の暗黙の了解で話の続きをするのはやめた
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