3 球技大会

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バックヤードのエレベーターで七階まで上がると誰でもお馴染みのテーマ曲が聞こえていたが店舗への扉を開けるとワッとボリュームが上がった。 「これは………」 「凄いだろ?」 阿鼻叫喚……まさに…… 会場に溢れてオーバーフローしそうな客は大人で満員とは全く違った どう動くか予測不能の生き物は生活圏には全くいない、豆のような小さな子供がワーワーキャーキャービービー嬌声を上げ足元をウロウロしてうっかり踏み潰してしまいそうだ。 「凄いですね……」 「想像も出来ないトラブルが起こるぞ覚悟しろよ」 「想像出来ないのに覚悟なんて出来ませんよ、俺に何が出来るんですか?子供の相手なんてした事ないですよ」 「はは……何とかなるよ」 ……何とかなるって……お母さんとお父さんのように寛容でいる自信は全くない 「マンパンマンプレイランド」は小さな子供でも出来る簡単なゲームが数種類用意され無料で開放されている 天井から吊り下がったキャラクターのオブジェに見下され、うるさいくらいにリピートされるテーマ曲は一日会場にいたら夢に見そうだ ムサシマネキンに納品したメイン看板のデータは3600mm*1200mmと自分でデザインして表記したものの実物を見ると思いの外巨大だった。 「すいません!適当に別れてゲームに並ぶ客の誘導お願いします!」 「え?それだけ?平田さん?」 それだけ言って消えてしまった平田を追う事は出来そうもない、大人の目線からでは目に入らない位置に何人潜んでいるか分からないのだ、突発的に動くと本当に踏み潰す 「美咲と山内、山田さんは輪投げの方を担当して下さい、神崎は俺とボウリングな、よろしくお願いします」 「あっ!春人さん!」 デザイン部の仕事でもないのに清宮が指示を出しトンっとつま先で跳ねたと思ったら順番待ちの列に飛び込んで行ってしまった。
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