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デザイン部のある4階のバックヤードで見た事がない男がビックリ顔でこちらを見ていた
死にたいなんて人によっては冗談ではすまされない、不快に思う事もあるだろう
胸にビジターの証明書がぶら下がっていると言うことは客だとは思うが、他の階も勿論だがデザイン部のある4階は社内機密が多く知らない顔が入ってくる事は珍しかった。
頭をチョンと下げたが無反応………
「清宮、お詫びに何か差し入れるよ…後でな!…」
「あ、吉川さんすいませんでした!」
デザイン部への来客は殆どが清宮に用がある、吉川が気を利かして階段の方に駆けていった
「あの?……」
どちら様ですか?………と聞くべきか……でももし連絡ミスだったら失礼だし……
この無言の間は何なのか、顔に変な物でも付けているのか見られている割に目が合わない
「清宮!居ないから携帯に連絡する所だったよ」
「堀川部長………声……でかい……」
誰に話かけてるつもりなのかそんなに大きく声を張らなくてもいいのにデザイン部の中からヒョイと顔を出した堀川部長が太い声を響かせた。
販売促進部長の堀川は将来の店長候補と言える出世組のトップだが熊川部長と比べると表面上はのらりくらりと穏やかに見える、腹が出て来ているが今でもイケメンだった
「人事部から頼まれてな」
「人事?」
「神崎くんだ、神崎司くん、今日からデザイン部に配属になった」
「え?今日から?」
新しく人を取るなら面接の担当は自分がする筈だが何も聞いてない…
何の事ですか……と危うく口から漏れそうになったが危うく止めた
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