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「神崎くん、こいつは清宮、ちょっと頼りなさそうだが一応デザイン部の責任者だ、仕事の指示は清宮がするから分からない事は、こいつに聞いてくれ」
「デザイナーって事ですか?」
「ああ、何でも即戦力らしいよ、これでお前もちょっとは楽になるだろ……おっと、失礼…」
「あのちょっと!堀川部長!」
堀川は話す途中に掛かってきた電話に出てしまい、手をプラプラさせながら頼むぞと目で合図して行ってしまった。
販売促進部は店舗全ての売り場とイベントに関係している為物凄く忙しいのは分かるがいつも飄々としている堀川はおくびにも出さない、いい加減で適当過ぎて真面目に取り合うと馬鹿をみる。
エレベーターに消えてしまった堀川を見送ると暗い廊下は急に静かになったようにシンとした
「本当に…あの人は…」
”神崎”に向き直るとさっき見たまま…時が止まったように固まって突っ立ていた
………どうしてだか……やっぱり目が合わない
「あの?………」
初対面が苦手なのはもうどうしようもない、大体堀川の説明ではどうなってるのかは分からないが、本人から聞こうにもリアクションがないからしっかりしたいのに出来ない
………一拍待って………話しかけられている事にやっと気が付いたらしい
「あっ!……あの…神崎です、よろしくお願いします」
「はじめまして、清宮です……あのデザイナーでここに配属って事ですよね?すいません、俺把握出来てなくて」
「はい、あの………」
顔を覗き込むとビクっと飛び上がり視線がうろうろ彷徨っている
不味い……やっぱり死にたい発言を聞かれていた
これから毎日一緒に仕事をする相手だ
先に言い訳した方がよさそうだった
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