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「すいません、死にたいなんて簡単に言って……さっきのは冗談ですから」
「え?……死にたい?……何……」
「え?」
「あの…」
死にたい発言にビックリしたんだと思っていたが違ったらしい、聞いていなかったのならその方がいい、説明する方が誤解を積み上げてしまいそうだ
「何でもないんです、変なこと言ってすいません、どうぞこっちに来てください」
「はい、今日からお願いします」
「今からもう手伝って貰ってもいいってことですよね?」
「はい、指示をお願いします」
12階まである店舗ビルの中でバックヤードは各階全て北側にある、大きな窓が壁全部を覆い店舗と同じ高がある天井のおかげでかなり明るい
デザイン部は4階だった。
デスク6つをくっつけた塊が2つとデザイン部の総合責任を担う課長席が一番奥にあり皆自分の仕事に没頭していて出口付近のやり取りに気付いていなかった。
「すいません!皆ちょっと…手を止めてすいません、今日からデザイン部配属になった神崎さんです」
「神崎です、よろしくお願いします」
さっきまでおどおど……いやフワフワしていたと言った方がぴったり来る
新しい場所にまごついて見えた神崎は通る声を出して綺麗なお辞儀をした
あがっているどころか悠然と余裕のある笑顔を浮かべ、思わずさっきと同一人物かと顔を覗き込んで確かめてしまった
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