6 名古屋

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「そんな青い顔をして何を言ってるんですか」 いつも赤い綺麗な唇が色を無くして白い 汗で滲んだせいもあるが額のガーゼは真っ赤になってずっしり重そうに垂れてきている 「神崎、味噌カツ食べに行こう」 「はい?」 わざとやっているのか本当に何も考えていないのか…もう清宮に振り回されっぱなし 「もう!春人さん!、すいません薬の用意だけお願いします。」 チェックインだけ済ませてホテルの自動ドアを出て行ってしまった後ろ姿を追いかけるしかなかった。 「なんで先に怪我の手当てをしないんですか!」 「お腹空いたし……疲れたし」 「血が滲んでて目立ちます」 「じゃあ取る」 色んな水分をたっぷり吸った重そうな額のガーゼを剥がしてしまった 「春人さん、どこに向かってるかわかってるんですか?」 「味噌カツ屋……」 名古屋の駅前はもう終電が終わり人通りも疎らになって閑散としていた、清宮は店を探してキョロキョロしているが横峯に教えてもらった店は方向が違う……… 「そっちじゃない、わからないくせに先に行かないでください」 「え?お前わかるの?」 「はっきりした場所は知りませんが横峯さんに聞いてます」 簡単な地図と店の名前を書いたメモ用紙を取り上げて反対方向に背中を押した。
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