3 球技大会

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3 球技大会

世間がお盆休みに入ると仕事どころかいつもうるさいくらいに鳴り止まない電話まで声を潜め大人しい 連休に休む商業施設などなく従業員のシフトは後方も売り場と同じ為やる事もなく全員のんびり弛緩していた ………清宮を別除いて、だが…… 今はこの会社に勤める全員が出社していると言っていい、社員も集客もマックス…、どこもかしこも人だらけだった。 満員でごった返す社食に行く気にはなれず地下の食料品で昼を買って済ませ、コーヒーを入れていると、販売促進課の平田が汗ビッチョリになって飛び込んできた 販促が来ると大概ろくな用じゃない。 「すいません!!7階の催し会場に誰か応援に入ってください!」 「ええ?………何人ですか??」 事務の南がそんな話聞いてないと不満の声を上げた 後方は"応援"と称して時々売り場に借り出されるが普段は前もって要請が来る事になっている、ゴールデンウィークにもあったがその時は清宮が無理だと断っていた 「何人でもいいです、ってか暇なんでしょう?全員来てください、もう無理なんです」 「電話が来るから私達も無理です」 電話など来ないが事務の二人はお菓子を開けて食べようとしていたくせに急にパソコンを叩き仕事がある振りをした。 俺が行きますよ」 「ああ………やっぱり?……」 清宮が立ち上がると美咲が頭を抱えた 清宮は無理が好き……と言うか要領が悪いと言うか、断らない事は目に見えていた。 「任意なんだから行きたくなければ行かなくていいよ」 「行きますよ、行きたいです」 「ハハッ楽しいぞ」 「前向きですね」 美咲は鞄からタオルを取り出しグルッと首に巻いた、清宮が行くと言うなら行くしかない、 結局デザインチームは五人で手伝いに入る事になった 「応援って何をしたらいいんですか?」 「神崎は初めてだな、専門外の事をさせて悪いな、イベントのバイトに入ったと思って適当に流していいからな」 7階の催し会場ではマンパンマンワールドと銘打った子供をターゲットにしたイベントが開催されている、ずいぶん前に感じるがイベントの広告を作った為に中身は知っていたが余りに無縁でどんなものかはわかっていなかった 「ちょっと面白そうですね」 「面白い……けど……それで済めばいいけど………な?」 清宮と美咲、山内が顔を見合わせて苦笑いをした。
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