異変

1/3
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ

異変

 翌朝、美咲はクラスメイトの中で唯一中学からの友達である藤崎佳乃と歩きながら、まだ愚痴をこぼしていた。  「あの転校生、今日もあんな感じなのかなあ。緊張して無愛想になってるとかいうレベルじゃないもん。せっかく落ち着いた窓際の席だったのにぃ」  「転校生?」  「転校生、工藤君」  「あ、ああ、そうね、工藤君」  一瞬、佳乃の反応を不審に感じたが、隣に座らされた当事者でなければこんなものかと思った。そもそもみんな入学して1ヶ月ちょっとだから、転校生にそれほど特別な感じもしないのかもしれない。  佳乃は中学からの友達で家が近いから小学校も一緒だったはずだ。ずっと、普通に友達だったが、特に仲のいい友達だった記憶は無い。高校に入って、同じクラスになってから急に仲良くなった。美咲は佳乃のことをあまりよく知らなかったが、佳乃は美咲をよく知っていた。佳乃は整った顔立ちではあるが地味な少女なので、昔から目立つ美少女だった美咲に密かに憧れてたのかな、などと都合よく解釈していた。     
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!