異変

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 学校に着いて二人が教室に入っていくと、美咲の席の周りに女子が群がっていた。いや、よく見ると工藤の周りだ。工藤は、爽やかな笑顔を浮かべて女子たちと談笑している。席に近付いていく美咲と目が合う。  「美咲ちゃん、おはよう」    昨日の態度は何だったのかと思う爽やかでキラキラした美少年ぶりだ。男子にチヤホヤされることに慣れてる美咲でも、ちょっと頭がクラクラする。しかし、  「誰が美咲ちゃんだ」  昨日、最初の挨拶をスルーされて以降、一言も口をきいたおぼえは無い。工藤の態度は明らかに度を越して馴れ馴れしい。  「おや、美咲ちゃん今日は何だかご機嫌斜めだね」  そう言って爽やかに微笑む工藤の目は笑っていなかった。冷静に美咲を観察しているようだったが、美咲は気がつかなかった。それよりも周囲の女子たちの視線が気になっていたからだ。不審な目で見られているのは、私だ!  「美咲、工藤君とケンカでもしたの?」  女子生徒の一人が、からかうように声をかけてきた。  「夫婦喧嘩は教室に持ち込まないでほしいわね」    どっと笑いが起こるが、美咲の表情はますます険しくなる。  「何を言ってるの?この人、昨日転校してきたばかりじゃない!」  教室が、しんと静まり返った。皆、美咲の言葉に呆気にとられている。  「美咲、その人、工藤君よ」  「そうね、工藤君」  「美咲の、幼馴染の工藤君でしょ?」     
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