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「あの向こうは青いんだよ」
「ウソだぁ」
「ホントだって。資料館でオレ、昔の空を見たんだから!」
慌てるように少年は手を振って説得を試みた。
しかし、少女は疑うような目つきで隣に立つ親友を見上げる。
少年はひとしきり唸ると、
「だったら、いつかハコに本当の空を見せてやるよ!」
覚悟を決めたようにぽーんと手を打って大声を上げた。
すると少女は目を輝かせ、
「えっ、ホント!?約束だよ!」
小さな小指を親友に差し出す。
少年も自分の小指を絡め、
「あぁ、約束だ」
幼い二人はゆびきりを交わすと、暗い空を見上げた。
二人の瞳には未来に向かおうとする、明るい星が宿っていた。
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