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今、雪が降っています
未来の旦那様へ
毎日書くと言ったのにごめんなさい。
いろいろあって、書けませんでした。
手紙をお休みしている間も、私はYUKIさんとのやりとりは欠かさずにしていました。
それに留まらず、私は、YUKIさんに会いたいと懇願しました。
駅で待ち合わせると、YUKIさんは、以前私を手当てしてくれた女性であることが解りました。
YUKIさんは、「あの日泣いていたよね」と言って私を正面から見つめました。
私を心配して正面からいたわりの眼を向けてくれるひとは、誰もいなかったのに…
打ち明けますが、私は孤児院育ちであり、高校にも行っていません。
私が涙をこぼしはじめると、YUKIさんは、私にも秘密があるの、と言って自身のことを語り始めました。
戸籍上、男であること。
でも、心は女というわけでもなく、男性のように振る舞う時もあれば女性のように振る舞う時もあり、男性を好きになることもあれば女性を好きになることもあるとのことでした。
そして、何年も前から、ある女の子に夢中であることを告白してくれました。
それは親友の娘さんで、親友に、守ってねって頼まれた、大事な子なのだ、と。
私は、険しい表情になって言いました。
それは、私なんでしょう。
でも、父も母も、私のことを考えてくれる人達じゃなかった。
あなたも、きっと、そうなんでしょう。
ただの他人どころか、どうやって私をターゲットにしたのか解らない、ストーカーじゃない、と。
YUKIさんは、いつも泣いている私に笑顔になって欲しかった、元気な私の姿を見ることが生き甲斐だったと言いました。
そして、私の誕生に立ち会った看護師である、と。
YUKIさんが看に行くと、私はいつも笑っていた。
だから自分は今こうして生きているのだ、と。
そして、私も思いだしました。
いつも大事な時や大変な時に、私を救ってくれた、足長おじさんのことを。
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