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父親のドッグタグを俺から受け取った時。
きっと大泣きするんだろう、拳で叩かれ、詰られるんだろう。
かなりの覚悟をしてきた俺は、かなりショックを受けたんだ。
だってよ?
10以上も歳の離れたたった15の女の子が、唇をぐっと噛み締めて、瞳にいっぱい涙を溜めて、ただじっと、それを握りしめていたんだから。
一緒に暮らしはじめてからも、 “娘” としてのお前は、全く手のかからない子だったな。
元々が軍人の父親との二人暮らし。
お前はたった一人で淡々と家事をこなし、待っていることに慣れていた。
俺が長い遠征に出る時でも、心配かけさせまいとして、
『気を付けて』
って少し情けない顔をしながらも、笑いながら送り出す。
本当は寂しがり屋の癖に。
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