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どうか俺を、許して欲しい。
あの夜。星空の下で
『愛して欲しい』
と言われた時、俺はどうすることも出来なかった。
願わくば安全で、平和な男を選べ。
ガキでもつくって、そいつの隣で幸せそうに笑っていてくれりゃあ、俺はそれで満足だ。
これは間違うことなき俺の本心。
一方で__
あの時、とうとう激昂したお前が、泣きながら唇を寄せてきた時。
俺は初めてお前に手を上げた。
『恥かしいと思え』
だなんて。
柔らかいものを大切なものを打った手は、これまで負ったどんな傷よりも痛んだよ。
そして
君はまた俯いて、唇が切れて血を流すほどに噛み締めた。
でもその時。
俺が本当は何を考えたか分かるか?
その細い腰を抱き寄せて、柔らかい唇を奪って貪って蹂躙して。
それから君の中に入りこんで、奪い尽くして__
あれは、自分自身への言葉だ。
アイ。
いくら綺麗事を並べてみたってさ、男なんてバカな生き物だ。
『もう子供じゃない』?
そんなこと、お前が言い出すよりずっと前から知ってたさ。
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