流れ星

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そう。 昨日の晩、流れ星に願ったことが現実になったのだ。 つまり神様はまだ俺のことを見放してなどいなかった。 これからはまっとうに自分の人生を生きていこう。 樫村さんと一緒に。 俺はそのことを強く胸に刻んだ。 「ところで樫村さんはどうやってここに入って来たんだい?」 この質問は自分でもどうして口にしてしまったのかは分からない。 単に間を持たせようとしただけなのか。 それとも純粋な好奇心だったのか。 はたまた特に意味は無かったのか。 しかし、俺は次の瞬間、この質問をしてしまったことを深く後悔する。 「えー!だって私はもう江山くんの彼女でしょ?彼女だったら合鍵持ってるのは当然じゃん」 そう言って、彼女はポケットから1個の鍵を取り出す。 俺はそれを見て背筋が凍えた。 頭の中で足りなかったパズルのピースが嵌まった音がする。 いつもは天使のような微笑も、今回ばかりは何か別のおぞましいものに見えた。 樫村さんは顔を赤く上気させながら俺に言う。 「ふふ、私、江山くんの彼女になれて嬉しい!私ね、あなたの理想になるためにいっぱい努力したんだから。毎日エステにも通ったし、髪型もあなたの好みに合わせたの。ほら、江山くんて確か髪の毛の長い清楚な女の子が好きだったでしょ?」 恐怖のあまり、声が出ない。 俺は理性を保つので精一杯だった。 さらに彼女は続ける。 「だから私、これからは江山くんが望むことは何でもしてあげる!毎日ご飯も作ってあげるし、終わらない課題があったらやってあげる。そして、お金に困ったら遠慮せずに私に言ってね!いくらでもあ・げ・る・か・ら」 どうやら流れ星に願いごとを言うと、願いが叶うのは本当らしい。 いや、この時の俺はただそう思い込みたかっただけなのかもしれない。 完
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