流れ星

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黒いキャンバスに、キラキラ光る宝石をぶちまけたような澄んだ星空。 俺はそんな夜空を見上げながら、缶コーヒー片手にタバコを燻らせた。 「あ~、最近いいことないわー」 何か嫌なことがあったとき、こうやって空を仰ぐのは俺の癖みたいなものだった。 二年前、地元を出て私立の有名大学に入学したところまではいいものの、授業についていけず、今年も留年ギリギリの成績。 教授の温情もあって、課題さえこなせば進級させてくれるらしいが、ここ最近色々あったせいかまだ一つも手をつけていない始末。 期限は明日。 これを提出しなければ明日俺の留年が決定する。 「大学辞めよっかな、俺」 独り呟いていると、広大な夜空の端っこに一際目立つ光が現れた。 しかも、それは徐々に高度を下げて、星空の中を駆け抜けていく。 流れ星だ! そう確信した瞬間、俺は今の気持ちを叫ばずにはいられなかった。 「課題を終わらせてください!課題を終わらせてください!課題を終わらせてください!」 噛まずに言えたのはいいのだが、どうやら言葉が長すぎたらしい。 流れ星はあっという間に俺の視界から消え失せていた。 なにやってんだろ、俺……。 急に虚しさが込み上げてくる。 手に持っていたホットコーヒーもすっかり冷めてしまっていた。 やはり、この美しい夜空は冬あってこそのものだが、寒いのは考えものだ。 俺は携帯灰皿を胸ポケットから取り出すと、火種を揉み消す。 そして、風邪をひかないように急いで帰宅した。
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