1人が本棚に入れています
本棚に追加
文化祭で居残っているのは 多分私たちで最後だと思うが
職員室にはまだ先生方も残っているはずだ
担任は私たちが教室に居ることを知っているはずなのだから
懐中電灯でも持って 迎えに来てくれてもいいのに
本当に暗いと 何一つ見えないものなのだ
自分の手さえ見えない暗闇に
次第に心細くなってくる
「ちょっと……まだ直らないのかな」
暗闇に向かって呟くが 返事が無い
「ねえ 怖いから黙らないでよ」
ふと気が付いたのだが 教室の脇にあるはずの非常灯の赤い光さえ見えない
停電で消えるなんて 非常灯の意味が無い
ゴロゴロと腹の底に響くような雷の音
何の前触れも無く
一瞬 鋭い光が窓の外から教室を照らした
確かに
……そこに
最初のコメントを投稿しよう!