おもいでづくり

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 「意外とすんなり忍び込めたね」  「フフフ 私の情報網を甘く見ないでくれ給え」    3階のF教室が私たちのクラスだ    「じゃーん」  と言いながらAは 3本の白い大きなロウソクをカバンから取り出す  「おおー」  「イイネ! 」  私とBは小さく手を叩き このあとの恐怖に胸躍らせる    そう  百物語の真似事をしようというのだ  おごそかに ガスマッチでロウソクに火を灯し  ポタリポタリと数滴 机の上に溶けたロウを垂らしてから  しっかりとその上にロウソクを固定する  「あとでロウちゃんと取っておかないとヤバイよ」  「どうせ文化祭で汚したんだと思ってくれるでしょ」  「順番どうする」  懐中電灯を消すと  ロウソクの灯りが 下から顔を照らす  おどろおどろしい顔に 私たちは笑い転げた    「んじゃ 私からいくよ」  Aが喋り始めたのは この前死んだ この学校の卒業生の話だった
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