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『白い魚』
「これをあげる」
言われて左胸のあたりに押しつけられたのは 白い魚のような物体だった
ヌメリ感のある表面 濡れたような透明感のあるその物体に
僕はびっくりして 思わず後ずさった
大きさは手のひらぐらい
ペタリと服の上から貼り付いて 身動きしても微動だにしない
「うぁ! うわ、うわ! 」
慌てて服を引っ張っても 魚はとれない
巨大なナメクジみたい
触りたくなかったので屈んで 服を摘まみ ヒヤリとしたその感覚を皮膚から遠ざけようとする
「なにこれ、気持ち悪いよ! 」
涙目になりながら 彼女に上目で抗議する
なんなんだこれ 嫌がらせ?
こんなものいらない
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