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「確かにお母さんは今、喘息の発作が続く春樹に神経を使っていて、千秋には関心が無いように感じるかもしれない。だけど、昨日の千秋の気持ちを知って、自分のせいだと泣いていたよ。お母さんがどんなに千秋を想っているか、伝えきれていなかったと」
お母さんは・・・昔と変わらず想ってくれている・・・?
半信半疑でいると、父が哀しそうに私の方を見た。
「お父さんもお母さんも、いつも千秋に怒っていたのかな・・・?」
「・・・うん、最近は。だけど、あたしが生意気だからだと思う」
「ごめんな」と、また父が謝った。
私は少し気まずくて、朝食を食べると「ご馳走様」とだけ言って席を立った。
「あ、千秋」
父が思い出したように、私を呼び止めた。
「春樹が発作を起こしたのは、流星群を見に行きたくて激しく泣いたからなんだ」
「そっか・・・喘息を治したかったんだもんね」
「いや、千秋とお母さんが仲良くなるようにって。それをどうしてもお願いしたかったって」
私は春樹の曇った表情を思い出して胸が痛んだ。春樹には、自分の苦しい発作よりも、私と母の不仲の方が辛かったのかもしれない・・・。
「それからな、千秋。何があっても、自分がいなくなってもいいなんて思うな」
強い口調だったけど、父の声が震えていたのが分かった。
喜ばせたかったはずなのに、もしかしたら世界一の親不孝をしようとしていたのかもしれない・・・。
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