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「なんで?いつもいつも意地悪言って、春樹のこと泣かせるじゃん」
「お母さんがいるからだよ。僕と2人の時は優しい」
私は驚いてテーブルを拭く手が止まった。確かに、2人で留守番をしている時には春樹に腹が立つことはない。発作が恐いから泣かせないようにもしているけど、そもそも母がいない時には春樹を嫌だとも思わなかった。
「お姉ちゃんはお母さんが嫌いなの?」
春樹が純粋な瞳で私の顔を覗く。とっても不思議そうな表情で。
その瞳を見れば、母親に対して大好きだという感情しかないのが分かる。私も昔はそうだったのに・・・。
「嫌いなのかもね」
そっけなく言い放ってから、もう一度春樹のつぶらな瞳を見た。
「だけどお母さんもお姉ちゃんを嫌いだから、一緒だよね」
無邪気な春樹の瞳が、一瞬にして曇ったことが分かった。
私はこんな小さな弟に何を言っているんだろう・・・。そう思ったけど、大して気に留めずに「次はどの色使う?」とお絵描きの続きを促した。
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