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「あっ!千秋、見えた!?」
ふいに俊太が夜空を指さして叫んだ。
「流れ星!!」
私には見えなかった・・・。
だけど、すぐに他の星が流れ落ちたのが見えた。
「あっ!見えた!」
私も思わず大きな声を上げた。
「一瞬で消えるから、願いごとなんて出来ないな」
俊太が笑っていたけど、すぐにまた次の星が落ちて行った。そして、その数がどんどん増えて行って、いつの間にか夜空が星屑のシャワーで煌めいていった。
私は願いごとも忘れて、ただ夜空を見上げて目も心も奪われてしまった。
俊太も同じだったようで、上を向いたまま私の手をギュッと握った。
「俺さ、春樹の件、ちょっと後ろめたかったんだ」
「えっ?なにが?」
「俺さ、家のベランダで曇り空を眺めながら、この雲がなくなって千秋が家に来られたらいいのにって思っていたんだ。一緒に流星群を見たくて」
俊太は言葉とは裏腹に切なそうに夜空を見上げている。
「だから、今は願いが叶ったんだけど・・・結局は春樹が発作を起こしたからだろ?」
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