3・流星群に願いごと

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 ふいに私の目から涙がこぼれて、俊太が驚いたような焦ったような顔をした。 「あたし、もしも流星群にお願いするなら、春樹が生まれる前に戻りたいって思った。そしたら、春樹が発作を起こして・・・」  泣きながらしゃがみ込むと、俊太の手が私の頭を撫でた。そのぎこちなさから困っているのが伝わる。 「だけどね、春樹はお父さんとお母さんに必要だから、いなくなったらいけないの。連れて行くならあたしを連れて行ってもらおう、って思ってここに来たの」  私は涙を拭いて、枝垂桜のように流れ落ちていく星たちに向かって心の中で願った。  春樹を連れて行かないで、私を連れて行って、と。 「違う願いごとをしようよ」  ふいに俊太に腕を掴まれて我に返った。 「せっかく一緒に来たのに、千秋が流れ星に連れていかれるなんて嫌だぜ、俺」  無邪気な言い方だけど、その瞳は真剣だった。  確かに、こんなところに置いて行かれるのは嫌だろう・・・。 「ただ春樹の無事を願おうよ。2人で願えばきっと叶う」  私は大きく頷くと、空を見上げて目を瞑った。  それでも心の中では、春樹を連れて行くなら私を連れて行って、と繰り返していた。
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