プロローグ

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 今夜は流星群がやって来る。  何座だったかな?十二星座の名前がついていた気がする。  朝から弟の春樹がはしゃいでいた。 「流れ星にお願いごとをすると叶うんだよね?流星群って流れ星がいっぱいなんでしょう?」  まだ4歳の春樹。少し前までたどたどしい口調だったけど、この頃は綺麗に流れるように話せるようになって、口数も増えたように思える。  お喋りな男子になるだろう、と思うと最悪だ。  私は無邪気に母に話しかけている春樹を横目に、苦笑いしながら朝食のバターロールをちぎって口へ運んだ。 「そうよ。星が流れ終わるまでにお願いごとをしなきゃいけないんだけど、沢山の星が流れていたら、きっと1つくらいはお星さまに届くわね」  母が目を細めながら、春樹に温めた牛乳の入ったマグカップを渡した。 「じゃあ、ボク、咳が出ませんように!って、それだけをお願いする」  春樹は小児喘息で、何度も入退院を繰り返している。  幼稚園も1年見送って来年から2年保育で入る予定だけど、早く幼稚園に行きたかった春樹には、それがとても残念なことだったのだ。
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