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目が覚めたら、自分の部屋のベッドの中にいた。
とりあえず、天国に行ったわけでも星になったわけでもなさそう。
だけど、あの山からどうやって帰って来たのか、全く覚えていなかった。
それとも、夢だったのかな・・・?
私は部屋から出ると、朝食を用意している父の姿を見つけた。
「おはよう、お母さんは?」
「ああ、春樹の病院に付き添ったままだよ。明日には退院できるから、明日一緒に帰って来る」
春樹が救急車で運ばれたのは、夢ではないようだ。だけど、無事に帰って来るんだ、良かった。
「千秋、ごめんな」
目玉焼きとブロッコリーとプチトマトが乗った皿を私に差し出しながら、何故か父が謝った。私は目玉焼きの確認をしたけど、別に失敗したようには見えない。
「千秋は掛け替えのない存在なんだよ。それは、春樹と比べられるものではない」
私はいきなりそんな話をされて、少しドキッとして父の顔を見た。
「お父さんは・・・千秋が女の子だからかな。いつでも心配だし、何をしても可愛い」
そうだ、昨日の神様の声。あれは父の声だった。
私は夢うつつに父へ思いの丈をぶつけていたのかもしれない。
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