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だけど、それは仕方がないと春樹自身も分かっていた。
発作が始まると呼吸が出来なくなるほど咳が続いて、小さな体でゼイゼイと苦しそうに耐えている。顔は真っ青で輝きを失う瞳からは涙が滲み、どうしようもない状態の自分の身体を諦めているように見えた。
「ねえ、何時からベランダに出ていい?」
「そのお話はお姉ちゃんが学校へ行ってからね。ほら、お姉ちゃん。のんびり食べていないで、時計見ている?」
何となく早く追い出されるような言い方が気に食わなくて、私は「ちゃんと自分で分かっているから」と口答えをした。
「そんな偉そうなことを言って、昨日だってランドセルをそこに置きっぱなしだったじゃない。お母さんに渡すプリントだってあったのに」
母が私の水色のランドセルを持ち上げて指差した。
「勝手に開けたの?やめてよ!」
私は立ち上がって母から乱暴にランドセルを取り返した。
「千秋が出さないからでしょ」
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