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私は幼稚園の頃から、時々同じ階に住んでいる俊太の家で過ごすことがある。
「俊ちゃんなら、ただお世話になっている家の子だよ」
元々は幼稚園の頃から私と俊太が仲良しで家を行き来していたからだけど、今はこんな妙な言い回しをした方が気が楽になる。
「だけど、バレンタインだってあげていたし、お返しだって貰っていたでしょ?」
果穂は一昨年引っ越して来たから、同じマンションでも俊太とはあまり交流がない。だから、私と俊太の関係をよく知らないのだ。きっと、幼馴染みというものもピンとこないのかもしれない。
幼いのかマセているのか分からない小5女子。それは、私も同じなのだけど。
「義理だよ、義理。お互いにね。だって、いつも春樹の入院の時とかに俊ちゃんの家でお世話になるからね」
私はそう言って笑うと、「今夜は流れ星いっぱい見れたらいいね」と、果穂に合わせてはしゃいで見せながら小学校の校門を通った。
「今日は曇り空だけど、山の方まで行けば、見れるんじゃないかってお父さんが言っていたよ」
果穂は嬉しそうに教えてくれたけど、山までは車で30分は掛かるし、電車で行こうと思うと1時間はかかる。確か、流星群のピークは夜中だったから現実的には無理だろう。
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