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今日は1日中クラスでは流星群の話題でいっぱいで、私はうんざりしていた。
何がうんざりするかというと、女子の間では私は俊太の彼女的な位置づけにされて、2人で何をお願いするの?って冷やかされることだ。
帰りは1人でさっさと学校を出ると、マンションの近くで「千秋」と声を掛けられた。振り向くと、後ろから俊太が息を切らして追いかけて来た。
「あのさ、今日俺ん家で一緒に流星群見ようよ」
肩で息をしながら俊太が嬉しそうに私を見た。
「今日は別に俊ちゃんの家に行く予定じゃないと思うよ」
「うん、知っている。だけど、いいじゃん。千秋と一緒に見たいんだ」
俊太は無邪気に笑うし、実際のところ私も別にそこに異存はない。
だけど、そんな幼稚園からの延長線上の関係は、小5女子の間では通用しない。
「もしも、俊ちゃんの家に行かなきゃいけなくなったらね」
私は少しそっけなくそう言って俯いた。
「・・・そっか。わかった」
低い声で呟くと、俊太はゆっくり歩き出した。
私が顔を上げてその後ろ姿を見送っていると、ふいに俊太が振り向いた。
「帰らないの?」
「・・・帰る」
私は小走りで俊太の隣に並んだ。
「まあ、今日はどうせ曇り空みたいだよな」
白い歯を見せて笑った俊太を見て、また背が伸びたな、と思った。
去年までは私よりも低かったのに、今は私の背を少しだけ追い越している。男子はどんどん背が伸びるっていうし・・・何だか置いて行かれるようで不公平だと思った。
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