負債のインフレスパイラル

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「いっけなーい!遅刻遅刻ー!」 ワタシは普通の女子高生のシュリナ! 両親の負債が原因でおうちを取り上げられましたが、なんとか廃墟での生活にも慣れてきました! それでもワタシはまたしても遅刻しそうです! 走らなきゃ間に合いません! 「この角を曲がれば……!」 ワタシが乗っているこれは、廃墟にポイ捨てされていた電動ママチャリです。 時々理不尽に時速60キロを超えて理不尽にウイリーする以外は至って普通の自転車です。 生焼けのジンギスカンキャラメルをくわえながら、ワタシは全ての理不尽と共に先を急ぎます。 どこぞのまっ黒けツギハギ高給取り天才外科医によると、なんとかっていうカレーはどう作っても美味いそうですが、このキャラメルは生焼けにしたくらいでは不味いまんまです。 「今日は遅刻しませんよ!待ってろキャンパスライフ!高校生ですけど!」 でもこの日のワタシは、前への注意がおろそかでした……。 「ぐしゃっ」 「きぁあっ!」 曲がり角から現れた人影に、大好評ウイリー中の法廷速度ギリギリ超過自転車で思いっきりぶつかってしまいました。 その衝撃で私も放り出されましたが、奇跡的に無傷です。 「あの、大丈夫ですか?」 「……がくり」 見覚えのある丸ハゲヤクザでした。 でも頭がタコのようにぐんにゃりしています。 ソウイウビョウキカナータイヘンダナー。 「とりあえず事務所にお願いします」 「あ、はい」 ドレッド君に促されるまま、ワタシは幾分小さくなったチンピラ基地に向かいます。 それこそ子供の作った秘密基地レベルです。 「相変わらず頭の中は失礼ですね」 「それを読むあなたも大概ですけどね」 ケーキくらいは出るのでしょうか。 あんなとこには行きたくありませんが、出されるおやつは楽しみですね。
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