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「と言うわけで、出発なんですが、これが船ですか」
目の前に浮いてるのはイカダですね。
オールがついてるのは温情でしょうか。
「こっちも財政難ですからね」
今はどこも大変だぁ。
「これからしばらく会えなくなりますね。最後に言っておきたい言葉があれば、どうぞ」
見送りに来てくれたのは、両親とドレッド君、それから包帯ぐるぐる巻きで人相なんか欠片も分からなくなってるけど元気そうに車イスに座っている丸ハゲヤクザです。
「そうですね。せっかくですので、一言だけ、言いますね」
ワタシはイカダに乗り、これまでの思い出を振り返る。
これまで、たくさんの冒険をして、たくさんの人と出会い、たくさんの人をツナのご飯にしてきました。
こうして振り返ると感慨深いものです。
「それじゃあ、いきます!」
どうしても伝えておきたい言葉を、思い浮かべます。
ワタシは大きく息を吸い込み、その言葉を口にしました!
「やーい!お前の事務所!青天井ーっ!」
その場に居た全員が対物ライフルでイカダをぶち壊したせいで、ワタシはいきなり遭難者となりました。
両親まで持ってるとは思いませんでしたね。
どうせ顔を出したら待っているのは対物ライフルなので、ワタシは意識を手放して流れに身を任せることにしました。
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