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宇宙ゾンビ。
それは第324銀河のワンダーハイパーワンワン星で発見された新種の生命体。
この星にいた宇宙知的生命体のわんわん丸が宇宙で最初の感染者とされている。
わんわん丸は農家の三男だった。仕事もしないろくでなしで、毎日宇宙犬や宇宙猫達と遊んで暮らしていた。彼は呆れられていたが、平和で穏やかな毎日を過ごしていた。
そんなある日のことだった。
彼は村はずれにぽつんと捨てられた宇宙井戸を見つけた。
彼は平和で穏やかな毎日を過ごしていたが、好奇心がないわけでは無かった。そして彼は、好奇心に駆られて井戸を覗き込んでしまった。その瞬間、彼は宇宙ゾンビに感染した。
なぜ井戸を覗いただけで宇宙ゾンビに感染したのか、そしてはじめの彼がどのようにして感染したのか、これは未だ解明されておらず、初めの感染は覗いた瞬間だった、という点を除いて宇宙ゾンビの始まりは未だ全てが謎に包まれている。
しかし、調査しようにもワンダーハイパーワンワン星はすでに爆破されており、なにも調べることが出来ない。
それはあまりに広がった宇宙ゾンビ被害に対抗するための、たった1つの選択肢だった。気付いた時には遅すぎた、とかつての星の王者は語っている。
そして始まりの謎は宇宙のチリの1つとなり、広大で偉大な宇宙に永遠に漂うことになった。
宇宙ゾンビに感染したわんわん丸はまずその村を壊滅させた。それは一瞬のことだったという。リミッターの外れた体は恐怖など微塵も感じることはなくなっていた。あるのは狂気と繁殖欲だけだった。
そこから恐ろしい宇宙ゾンビの感染が始まった。
宇宙ゾンビに感染した者に噛まれた者はすぐに宇宙ゾンビになる。それはとんでもない繁殖力だった。
彼は自分の村を壊滅させた後、一瞬にして国までも壊滅させた。
俺は始め、いつもの、俺には全く関係のない話だと思っていた。俺の住んでるのは第1243銀河。
約1000銀河も離れている。だから、関係のない話だ思った。しかしこの認識は大きく間違っていたのだと知ることとなった。
それは、宇宙ゾンビが発見されてから1400年後のことだった。
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