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地下での闘い
「赤コーナー、ペガサス菊池いいいー。」立ち上がって歓声を受けるペガサス。トレードマークの黒いロングヘアーが華麗になびく。目に鮮やかなヴァイオレットのコスチュームに、スカイブルーのマントがひらめいている。
メインイベントになり、観客はいやがおうでも盛り上がる。
なにも知らない観客が水鉄砲を彼女に浴びせるが、彼女のコスチュームには撥水加工がほどこしてあり、かかってくる水をすべてはじき飛ばした。彼女は誇り高きレスラーなのだ。
それでも観客から失望の声は聞こえて来ない。
それは彼女がとてもスレンダーな長身で、しかもアイドルなみに美人だったからだ。
そう、あの名古屋を代表するアイドルグループ「金山キラキラフェアリーズ」のセンターだって務められそうなくらいの美人なのだ。
「青コーナー、エロリアン鈴木いいいー。」こちらも立ち上がって歓声を受ける。
と、一斉に観客のあちこちから水鉄砲の放射が始まった。エロリアンのコスチュームは、みるみる内に水が浸みて来て、あっという間にすけすけになってしまった。
どうやらこちらはエロとおちゃらけを売りにしているらしい。
しかし、油断はできない。実力派で鳴らすペガサスには、甘いマッチメイクなどありえないのだ。
たしかに、水鉄砲の水を浴びながらも、エロリアンは視線をペガサスから離そうとはしない。明らかに隙をうかがっているのだ。
ペガサスはマントを脱いで、指をポキポキと鳴らした。
「カーン!」とゴングの鐘がなりひびいた。
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