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「いつつ……。うん、そうだよ。あ、あと、僕の事は『ジャン』でいいよ。改めてこれからよろしくね」
笑顔と共に、握手をしようとジャンピエール……いや、ジャンが差し出した右手を無視して、鼻を鳴らすハル。
「ふん……」
「ははは。ハルちゃんは怒りっぽいね。鉄分足りてないんじゃない? ほら、よかったら僕の血でも吸ってリラックス――」
ドゥクシ!
「ぶぉえ!?」
「お前わざとやってんのか!? そういうトコだよ俺が腹立ててるのは!」
ドゥクシ! ドゥクシ! ドゥクシ!
「がっ!? ぐぁ!? い、痛っ!? ちょ、は、ハルちゃん激しい!?」
「うるせぇ黙れ!」
頭を庇って逃走を開始するジャンを追いかけ、拳を振り上げるハル。
「あはははは! つかまえてごらんなさ~い!」
「待てこら!」
湿った洞窟にこだまする2人の声。
騒がしくも、どこか微笑ましいその声は、まるで物語の幕開けを告げるプレリュードのようで……。
(ははは、これから楽しくなりそうだよね。……ねぇ、ハルちゃん)
……陽気な魔王軍参謀総長と可愛い勇者による、世界中を驚かせるこのお話は、まだ、始まったばかり……。
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