剣と魔法のファンタジーの場合 

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       ☆  「……え、い、いや、そんな……」  とある洞窟の奥深く。  まるで、迷路のように複雑に要り組んだ天然の通路の、最深部。  暗闇に閉ざされ、恐ろしいモンスター達が我が物顔で練り歩き、濃密な死の気配が漂う、そんなダンジョンの一角で……。  「こんなの、嘘、だよね……? それか、きっとタチの悪い白昼夢か何かでさ……」  1人困惑気味に、勇者、レオンハルトは呟いた。  つい数時間前、国王からのじきじきの依頼を受けてこの洞窟に赴いたレオンハルトは、Lv.99の圧倒的なステータスの力でダンジョンを突き進み、そして最深部で待ち構えていたボスモンスターを見事討伐してみせたのだが……。  ……しかし、レオンハルトが倒したボスモンスターは、事切れる直前に彼に強力な呪いをかけたのだ。  そして、その呪いを受けた勇者は、気を失うほどの激痛にもがき苦しみ、ひとしきりのたうち回ってから、ふと気が付いた。  『……あれ? 何か、体が……』  不意に違和感を覚えたレオンハルトは、おもむろに自身の体を確認して……。  ほどなくした後、彼は“自分の背が縮んでいて、なぜか髪が伸びていて、声が高くなり、胸が発育し、更に股間のナニが無くなっていた”事を認識し、軽くパニックに陥りつつ現在に至る。  「な、なんで……こんな……。呪いで体が女の子みたいになるなんて……」  「女の子“みたい”じゃなくて、キミはもう立派に女の子だよ。ねぇ、勇者ちゃん?」  「っ!? だ、誰だッ!」
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