ep.1 プロローグ

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 私は念願だった難関T高校に入学にできることになった、ただの中学生。  勉強はハードだったけれど、高校ではもっとハードな内容になってくるかと思うとドキドキする。楽しみな高校生活も待ち遠しいが、もうすぐ中学生活も終わることも名残惜しいというか、寂しいというか…皆別々の進学先が決まり、私も勉強で手一杯だろう、友達ともこれで付き合いが徐々に無くなっていくのだなと思うと、やはり寂しい。  私には兄がいる。5つ上で、今は歌舞伎町でホストをしている。行ったことは無いから分からないけど、お店に飾る写真やホームページに載っている兄は、私が見たこと無い、華やかで、王子様というよりは、執事のような雰囲気に見えた。  兄の売上が良かった月には、ご機嫌に帰宅し、私や両親に50万、100万とご祝儀なのか札束を押し付けてきて、自分の部屋で夜まで電池が切れたかのように突然眠る。  私は、何故兄がホストをしているのか知らない。ある日突然学校を中退し、親に相談もしないままホストになった。父は呆れて何も言わなかったし、母は「好きなことができるなら良いじゃない」と呑気に笑っていた。
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