突然の…

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意外に少なかった荷物を持って外へ出る。 まだ日は高く、初夏とは思えない暑さがアスファルトからじわじわと伝わってくる。 「立花さんは次の会社どんな仕事?」 一緒に外に出てきた従業員に聞かれた。 「……次の仕事?」 ……… 「あっ…ごめん。俺らと同じように説明いらないって帰るからてっきり…。ホントごめん。」 彼は私に何度も頭を下げてくる。 話を聞くと、今帰った人のほとんどは前から工場が危ないと気付いていて、既に新しい就職先を決めている人や職を探している人だったらしい。 私は… 今まで何も気付かず、そしてこの先何も考えていないまま出てきてしまった。 今から説明を聞きに行こうか そう思ったが、泣き崩れる奥さんの姿が頭から離れず、その姿をまた見るのが怖くなりとりあえずそのまま帰る事にした。
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