第8章 男たちの大好きな玩具

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ざっと全身から血の気が引く。…そんなの。 「や、…絶対。駄目…」 身体をずらして何とか逃げようとする。そんな目的のための場所じゃないじゃん。気持ちいい訳ない。 過去にクラブでも冗談半分でそっちを打診されたことはあった。その度それは嫌、と頑として断ってきた。する方はそりゃどっちだって大して変わりないだろうけど。 こっちは気持ちよくなるためにあるところしか使いたくない。わたしはやっぱり自分が快感を得たくてこれをしてるだけなんだな、とその都度苦笑したい思いだったけど。 第一、何より痛そうだし。苦痛しか想像できない。 「本当、やめて。…痛いにきまってる。怪我したくないし…」 「だいじょぶ、丁寧に解して受け入れやすくしてあげるから。…なんか、ローションの代わりになるもんないかな。少しずつ柔らかくして、指増やして拡げてけば。平気だよ」 「いや、無理だって…、やだぁ」 奴らの雰囲気が変わってくのがわかる。わたしが本気で嫌がるのを見て、更に興奮し始めた。力ずくで体勢を変え、受け入れさせようとする。 「ほら、暴れない。ちゃんと素直に大人しくしなよ。お尻持ち上げて、脚拡げて。…やってみればわかるって、滅茶滅茶いいらしいよ。前と後ろから一度に挿れられると、中で擦れ合うみたいですっごい気持ちいいんだってさ。きっと夜も病みつきになるよ、淫乱のど助平な身体だし。…おい、お前、そっち抑えろ」 「やっ、嫌、…離して」 涙が滲む。誰かの指がそこに触れた。…何でこんなことまで無理やり、されなきゃいけないの。 …不意に車がす、と停まったのがわかった。バタンと荒っぽい音がして思わず全身びくんとなる。男たちも何事か、とさすがに動きを止めて様子を伺った。 険しい表情の高城くんがスライドドアを狭い幅だけ開けて外から頭を入れて覗き込んでいた。さっきのは彼が運転席から降りてきた音だったらしい。 有無を言わさない強い声で厳しく言い渡す。 「駅に着きました。男性会員の方はここで解散です。お疲れ様でした、すぐに身なりを整えてお降り下さい」 誰かが未練がましそうに時間まだ、と呟く。彼はすかさずぴしゃりと返した。 「15分ほど残ってますが、規定上許容範囲です。解散は30分程前後することがある、と事前に承諾を得ていますから。あまり長く駐車できないので手早くお願いします。…それから」
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