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いつも常に綺麗にすぱんといかせてもらって終われるとは限らない。多少もやもやが残る時だって当然ある。その度いちいち身悶えてたら変態極りない。こんなのは頭を切り替えて気分を変えればそのうち紛れて消えてしまうだろう。
第一今日はもう充分やった。そこそこ早い時間にここに来たのにもう結構深い時間帯だ。意識が飛んでた時間を計算に入れてもだいぶ沢山の男たちを相手にした筈だと思う。
「だから、もう少し間隔を詰めろって何度も言ってるのに。あの人たちの飢餓感がすごいだろ。途中で助けに行かせようとしてもなかなか…、プレイの切れ目が難しいんだよ、こっちも」
「すいません…」
なかなか平常に戻らない呼吸まじりに小さな声で謝る。彼は素っ気なく肩を窄めた。
「とにかく二週間以上空けるな。後が大変だから。今回は三週空いたぞ。全然反省してないな、お前」
「それは仕方ないんです。本当に仕事だったんだもん…。残業続きだったんですよマジで。もう同期の男から付きまとわれる心配もなくなったし」
ふと彼の声の調子が和らいだ。
「そうか、そっちはその後何もないんだ。よかったな、もうだいぶ経ったからこのまま落ち着くんだといいけど。…ところで、同期の別の奴の方は?どうなった、その後。ちょっとは進展したのか」
話が急に切り替わって戸惑う。
「はぅ?…別な奴って、誰?」
「だから、お前に気があった方。隙を狙ってた男じゃなくて」
「ああ…」
わたしは再び目を閉じた。てか、何でそんなこと覚えてるんだ、この人。あんまり細かいこと話した記憶もないのに。
「なんか勘違いしてたんでしょうね、わたしのこと。高城くんが咄嗟に篠山の野郎についた嘘をそのまま使わせてもらって切り抜けました。てか、あの男、わざわざそれを彼のとこに伝えに行ったらしいですよ。婚約者がいるんだって。ショック受ける顔でも見て腹いせしたかったんですかね」
「みみっちい男だな」
「全く」
そこは異論ない。素直に同意した。
加賀谷さんはデスクに向き直り、再びマウスをカチカチ言わせながら未練がましく嘆息した。
「そうか、断っちゃったのか。残念だったな。まともな普通の男と一緒になれるいい機会だったのに、夜里」
「えぇ?何言ってんの、そんなん無理ですよ」
わたしは仰け反りそうになった。
「だって、会社とかでもわたしが裏でこんなことしてるって誰も知らないんだよ、当然だけど。
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