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それは、突然やって来た。九月十四日の夜
だった。立ち上がろうとした涼子は激しい
胸痛と絞扼感に見舞われた。時計を見上げ
た。二十二時四十五分。
本で読んだ通りの狭心症の症状だ。彼女は
今一度確かめたくて起き上がろうとしたが、
断続的に続く痛みのために出来なかった。
観念してそのまま横たわっていた。時計の
音だけが聞こえる。自分の身体に何が
起こったのか。不安にかられた。
二十三時過ぎ、ようやく涼子は病院に
電話をかけた。当直は小山であった。彼は
歩ければ車で、歩けなければ救急車で来院
するようにと告げた。
救急車を呼ぼうかと考えた。
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