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しかし、市域を超えて病院を指定しても
搬送される確信が持てなくてククシーを
呼んだ。
病院の正面玄関で車を降りた涼子は救急
センターの入り口を警備員に尋ねた。地下
一階だと教えられ、中央待合ホールの
階段を下りた。夜の病院は静まり返って
いて気味が悪かった。
地下一階で曲がる方向を間違えた。案内
板の霊安室という文字が目に飛び込んだ。
人が病院で死ぬのは当たり前のことだ。
霊安室があって当然なのだ。しかし、
涼子は一人でその部屋に横たわる自分の
姿を想像しただけで目が回りそうだった。
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