星の指輪 2

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しかし、市域を超えて病院を指定しても 搬送される確信が持てなくてククシーを 呼んだ。 病院の正面玄関で車を降りた涼子は救急 センターの入り口を警備員に尋ねた。地下 一階だと教えられ、中央待合ホールの 階段を下りた。夜の病院は静まり返って いて気味が悪かった。 地下一階で曲がる方向を間違えた。案内 板の霊安室という文字が目に飛び込んだ。 人が病院で死ぬのは当たり前のことだ。 霊安室があって当然なのだ。しかし、 涼子は一人でその部屋に横たわる自分の 姿を想像しただけで目が回りそうだった。
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