第一夜

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__玉森高校__ 「咲(さき)!早く上がってこい!捕まるぞ!」 「わ……分かってるんだけど……もぅ足が動かないよ……」 感染した人間から逃げるため、俺達は学校へと避難してきていた。 街中に感染者が現れる中、幸いにも校門が閉められていたため感染者が学校内に侵入していないと学校近くに住む親友の大輔(だいすけ)から連絡が入ったからだ。 物が散乱し、至る所で人が倒れているために自転車などでの移動が出来ず、運動音痴の咲を連れて学校まで走るのは骨が折れたが、二時間掛けてようやく校門までたどり着いたのだ。 あとは門を登りきれば安全だ。 学校内には非常食や水もある。 この事態が解決するまでやり過ごせるはずだ。 体力を失い門を乗り越えられない咲を、俺を踏み台にして無理矢理乗り越えさせ二人で学校内に入る。 「や、やっとついた」 「疲れたぁ……。しーちゃん、ありがとう。私、しーちゃんが居なかったらきっと今頃感染してた」 「そうかもな!」 へへっと笑いながら、へたれ込む咲を立ち上がらせ、大輔が開けておいてくれた職員用の裏口から校舎へ入った。
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