第一夜

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一階は非常時に下ろす窓のシャッターが下ろされていて、真っ暗で何も見えない状態だった。 スマホのライトを点灯させ、僅かな光を頼りに先へ進む。 大輔は食料や水、保健室から布団や薬などを集め家庭科室で待っていると言っていた。 校舎の一番奥にある教室。 ほのかに灯が灯っているのが見え、足早にそこへと向かった。 扉を開けると、懐中電灯の光で照らされた部屋の中心で大輔が待っていた。 丸い眼鏡に光を反射させながらこちらを向くと、安堵の息を漏らした。 「良かった、無事ついたんだな。遅いから何かあったのかと思ったよ」 「悪ぃ。咲が足遅くってさー」 「ごめんね」 「いや、無事でいて何よりだ」 申し訳なさそうに眉を八の字に下げる咲の頭を軽く撫でながら大輔は笑みを浮かべた。 「そうだ、真二(しんじ)。来る途中に生存者は見かけたか?」 「いや、それらしい人は居なかったと思う。皆路上でのたうちまわってるか、唸りながら歩いてるかだったから……」 「そうか……」 「アレって……何なんだろうね……」 咲の問いかけに、頭のキレる大輔でも直ぐには答えられないようだった。 それもそのはずで、俺たちに分かっているのは彼らが"感染者"で"既に死んでいる"ということだけだからだ。
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