第一夜

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__昨日__ 両親が海外旅行に出掛けているため無理矢理起こす母も居らず、休みであった今日は起きるのも億劫で日がな一日寝て過ごし、時刻は既に夕方の6時を回っていた。 居間に降りてゆきテレビをつけ、机にあった賞味期限が一日過ぎたパンを頬張りながらソファに座った。 時間帯的にまだ見たい番組も無く、仕方無くニュースを付けているとおかしな内容が耳に入ってきた。 《本日未明、○○県にある研究施設から被検体である動物が逃げ出したとの情報が入りました。身長は約3m程あり、身体は黒い鱗のようなモノに覆われているのがとくちょうです。大変気性が荒いため、見かけても絶対に近寄らず速やかに避難してください。また、捕獲情報が入るまで出来るだけ外出を避けるようにして下さい》 「3mの動物ってなんだよ」 笑いながら食べ終わったパンの袋をゴミ箱に投げ入れると、携帯を開き大輔にメールを送る。 《なぁ、ニュース見た?被検体って何だろーな》 普段あまり携帯を使わないはずの大輔だが、珍しく直ぐに既読がついた。 《動物園から動物が逃げ出してもここまでの騒ぎにはしないんだ。多分かなりまずい状況かもしれないな。何かあってもいいように、必要な物はまとめておいた方がいいかもしれない》 《大袈裟だな(笑)そこまではいらないんじゃないか》 メールを打ち返して直ぐ、大輔から電話がかかってきた。
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