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クローン・ハントはゲームさながらの舞台でハントを楽しめるという、二ヶ月前から始まったスポーツだ。競技人口は既に500万人を突破している。
開始前から散々議論が繰り返されたが、いざ実施となると想定されたほどの反発はみられなかった。既に社会的に受け入れられつつあるというのがその理由だろう。
俺はそんな社会が許せず、記者になった。報道関係や警察機関など個人情報に踏み込む仕事は多くの人が嫌悪感を示すことからクローンは採用されず、事務作業以外全てを人が行なっている。
ただ、いくら金払いが良いとはいえこんな仕事を続けるには俺のように何かしらのモチベーションでも無ければなかなか難しい。
「クローン・ハントについてどう思っていますか?仮にも人が人を殺しているわけですが?」
「君、俺たちがハントをやってるから声をかけたんだろ?分かりきった答えで悪いが大いに楽しませてもらってるよ。社会的にもプラスになってるんじゃないか?
クローン・ハントが始まってから衝動的な殺人事件がめっきり減ったとか何とか、よくニュースでやってるだろ。大体、肯定してなきゃこんな事やんないよ」
大柄な方の男が答える。俺はペンに髪をクルクルと巻きつけながらメモを取った。
幼い頃からの癖だが、どうも2人への印象は悪かったらしい。そろって露骨に顔をしかめている。
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