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「そうですか。じゃあ人を殺す事に躊躇はないんですね?もしくはやっているうちに無くなったとか。そんな事をいちいち考えながらはやってないですよね?」
俺の物言いに少々苛立ったのか細身な男が乱暴な声色でそれに答えた。
「あんた、NOC(Neighbor of clones )所属か?俺たちから何を引き出したいのか知らないけど今更クローンの人権を主張しようとしてるんなら諦めた方がいいと思うぜ」
少しムッとしたが、これでも俺は記者の端くれ。気持ちをスッと押し込むと何食わぬ顔で曖昧に微笑む。男は構わず話を続けた。
「大体、ハントなんてのは昔から認められてるんだ。古くはアメリカ人の鹿撃ち、アフリカでの象牙狩り。一昔前の貴族なんてライオンの狩猟なんかもやってたらしいぜ。当時から絶滅を危惧されてたライオンでもクローン技術で増やした個体については狩りを黙認されてたんだ。
記者さんよ、俺が何を言いたいか分かるかい?思うにこれは、当時から既に国や社会がクローンはオリジナル程の価値がない事を認めていたって事なんだよ。昔から結論の出ていたことだ、お前やNOCが今さらなにを言おうと無駄なんだよ。それにNOCなんて組織、ああいうのは結局自分の道徳観とかそういう勝手な理屈を他人に押し付けて自己満足を得たいだけの連中だ、ついててもいい事ないぜ。
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