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まぁ要するにだ。例え人に近いものであったとしても人は人、クローンはクローンだこの壁は越えられないよ。
あんたもこんな意味ない取材さっさと辞めたらどうだ、『人とクローンの平等性』についてだっけ?正直、そんな記事誰も読まないと思うぜ」
俺の反応を確かめる為か、男はゆっくりと最後の言葉を吐いた。
「だってそうだろ、クローンだぜ?死んで誰かが悲しむか」
心なしか男の口元は薄くニヤついているように見える。悪びれもせずにそんな言葉を口にする心が俺には理解できなかった。短い取材になってしまうが、ここら辺で打ち切ろう。
「貴重なご意見ありがとうございました、取材へのご協力感謝いたします。では、私はこれで」
そう言うと俺はさっさとその場を離れる。背中には男たちの遠慮の無い言葉が突き刺さる。
「ハッ図星だったのかよ、反論もせずにつまんねぇやつだな」
「まぁまぁ、そう意地の悪いことを言ってやるな。立場上、公正な意見を持ってなきゃダメなんだろ。じゃねえとわざわざこんな全面肯定派の意見なんぞ聞きにこねぇさ」
それもそうだな、と笑い合う2人。俺は怒りのこもった目で振り返ったが、記者としての自分の立場を思い出し、逃げるように走り出した。男たちは顔を見合わせるとハンと鼻で笑った。
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